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深谷宏治『スペイン料理 : 「料理・料理場・料理人」』【私の推し本】

更新日:2022年7月22日

このコーナーでは春・夏・秋・冬、シーズンごとにテーマを決めて“私の推し本”を紹介しています。 2022年春のテーマは「食」。


●本を紹介してくれる人●

スペイン料理愛好家(元スペイン料理店「ヨシムタ」経営者)

吉牟田雅子




2004年、スペイン食堂ヨシムタオープンの半年前に本屋でふと手にしたこの一冊。

他のレシピ本とは何か違う温かいものを感じたのです。


バスク地方の伝統を大事にしたお店の看板メニューから家庭でも作れる簡単なものまで、きれいな写真と共にとても丁寧な解説がなされていました。


何度も読み返し、気づくと函館行きの機中。

初対面で突然の訪問にも関わらずオーナーシェフの深谷さんは時間をとっていろいろと教えてくださいました。

うちの料理を勉強したかったら1週間でもいいからいつでもおいでと。


必然の出会いだったのか、深谷さんは理科大の卒業生で在学中は柏にお住まいでした。

その後スペイン他で修行され帰国後に函館でレストランバスクを開業。

スペイン料理がまだ珍しい時代にバスク料理とは、ご苦労された事と思います。


今や全国に広がった食べ歩きイベント(柏ではユルベルト)の元となった"バル街"を考案されたり、"世界料理学会"を開催してレシピや新技術の発表、共有を通じ料理

界のレベルアップに貢献されたりと、アイデアとバイタリティに溢れたかたなんです。


店のレシピは門外不出がセオリー、他店は皆ライバルというギスギスした環境にうんざりしていた夫には青天の霹靂だった様です。

深谷さんの、古い常識を覆していく度量の大きさに感動しておりました。


それからは年2回のバル街や学会、イベント等に参加させていただいたり、深谷さんが柏に来られた際に店に寄ってくださったりと、細々とですが交流が続いていました。


何気なく購入した1冊の本からこんな素敵なご縁が続くとは思いもしませんでした。

"本まっち"や"サンジョルディ"もそうですが、本には人と人を繋ぐすごいパワーがあるんですね。

特にこの一冊は、普段あまり本を手にしない夫が昨年他界するまでの17年間とても大事にしていたバイブルでした。

あちこちのページにこびりついた食材を見ると、いろいろ参考にさせていただいたんだなと、心の支えだったんだなと感謝の気持ちでいっぱいになります。


もし料理やスペインに興味がありましたら是非1度手に取っていただきたい、

そしてもし函館に行かれた際には是非レストランバスクかラコンチャで深谷さんの温かいおもてなしに触れていただきたいです。


段々 函館に行きたくなってきましたね…

まずはチャコリで乾杯!

とびきり美味しい自家製生ハムから頂きましょうか。


●推し本情報

タイトル:『スペイン料理 : 「料理・料理場・料理人」』

著者:深谷宏治 出版社:柴田書店

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